【体験レポート】Akita de Workation College(羽後町ー前編)
「起業人を呼び込むワーケーション」をテーマに2024年10月に羽後町(後半は横手市)で開催された「Akita de Workation College」(秋田県主催)のセミナー&ワークショップ。Wappa編集部も参加してきました。前半後半の2回に分けて参加レポートをご紹介します(後編はコチラ)。地域の魅力や課題と積極的に関わりたい、ワーケーションのコーディネーションやプロデュースに関わりたい方は必見のプログラムです。ぜひ最後までご覧ください。
プログラムの開催案内
羽後町プログラム:「起業人を呼び込むワーケーション」(前編)
さて、今回のカレッジの実施は秋田県南エリア。集合場所は日本三大盆踊りのひとつに数えられる「西馬音内(にしもない)盆踊り」で知られる、羽後町の西馬音内地域で、“何かをしたい人をサポートする”拠点として様々な活動が行われているUGOHUBさん
あいにく前夜からの雨が残るコンディションでしたが、秋田県南地域からの参加者を中心に、地域おこし協力隊、自治体、関係人口に取り組む移住者、観光・旅行、金融など幅広い分野の方々が集い関心の高さが伺えます。
東京オリンピックの閉会式でも披露された西馬音内盆踊り。街なかでもその雰囲気に触れられます。
ワークショップのスタートは、カレッジのアドバイザーで日本のワーケーションの発祥地と称される和歌山で、数多くの受入を行ってきた南紀白浜エアポートの森重良太さんから「ただ体験するだけでなく、自分自身ならどう関わるのか、地域キーパーソンの課題に寄り添いながら自分事にして楽しんでほしい」と参加者に向けたメッセージが送られました。
そして”起業人を呼び込む”ための最初のステップは地域の実情を知ること。ということで羽後町みらい産業交流課の職員による地域紹介に続きます。
羽後町は「緑と踊りと雪の町」をキャッチフレーズに西馬音内そば、スイカ、畜産(うご牛)など豊かな農畜産品を育む豊かな地域。そして西馬音内盆踊りは近年ユネスコの無形文化遺産認定されたことなどポジティブな魅力もたくさんありますが、一方で10年間で-45%にも達する少子化。そして高齢化と合わせた急激な人口減少が、地域の運営にさまざまな影響を及ぼし、これまでできていたことが出来なくなりつつある。といった切実な課題についても包み隠さずにお話しされていたことが印象に残りました。
この状況を受け、羽後町としてワーケーションに期待しているのは「少子高齢化に負けない地域づくり」への関わり。一見すると、ワーケーションとの関わりが薄く受け取られがちなテーマですが、ワーケーションで来訪される方々を地域の「関係人口」として捉え、一体となって(少子高齢化に負けない)まちづくりに取り組みたい。という強い意欲を感じました。
プレゼンに対し参加者からは「盆踊り以外の観光資源は?」「地域おこし協力隊がもうひとりいたらどんなテーマに取り組んでもらいたいか」などの踏み込んだ質問が入ります。
次のプレゼンターはUGOHUB代表の村岡悠司さん
出身は秋田の小京都として仙北市の角館。村岡さんは外国旅行者に関わる仕事をしていたことがひとつの縁で「盆踊りが有名という知識程度で実はあまりよく知らなかった」羽後町に、コロナ禍によるハンデがある中、元パチンコ屋だった建物のリノベーションに着手し、レンタルスペース、カフェ(現在は休止中)、宿泊、さらに起業支援も行うローカルハブ(地域とその他の場所を繋ぐ)拠点として、UGOHUBを開設します。
UGOHUBのユニークな特徴のひとつが「いろんな人のやりたいことを叶える」というコンセプト。施設や空間をただ提供するだけではなく、より積極的で能動的な表現である「叶える」というワードを用い、イベントや交流、起業やクラウドファンディングの支援など含めUGOHUBではこれまで500人以上の方々の「やりたい」を叶えてきたそうです。
そして、今回のカレッジのテーマである「起業人を呼び込むワーケーション」と関わりが深い、起業支援については具体例に沿って説明いただきました。(事例として説明いただいた「フルラボ」については、カレッジプログラム後半の訪問先ということで詳細は後半をご覧ください。目からウロコの起業支援です)
さらには村岡さんが重視する起業の3つのポイントもご紹介いただきました。
①始めました。ではなく。始めます。から
②できないことは人に頼る
③できる限り”みんなで”やる
いかがですか? 起業と言うと、とかく会計、経営の専門的な知識や、コンサルタントが多様する横文字が飛び交い、知識や経験がない方が一歩を踏み出す際のハードルになりがちですが、これなら自分でももしかしたら・・・と思える心構え、そして秋田をはじめ都市部のような人材や、機会が少ない”田舎”、”地域社会”で活動を始める際に、直面する課題と立ち上げるための道筋を、見事に言い表したポイントだとWappa編集部は感じました。
村岡さんは自分自身が大切にしている思いとして「冒険する人を増やしたい」そして「出会った人に対して、自分が役に立てることをやりたい」と語りました。このおせっかい気質と情熱こそが「少子高齢化に負けない」まちづくりに取り組む羽後町には欠かせない人であり、「受け」や「待ち」ではなく積極的に人と関わっていくその姿勢は、土地勘も人とのつながりも少ない、地域外からの来訪者にとっては何より心強い存在です。
ワーケーションはもちろん、同じような課題に直面している多くの地域では、今まで以上に村岡さんのような地域コーディネーター(村岡さん自身はそう名乗ってはいないが実質その役割をされている)の存在が求められています。
地域と地域外の人や価値、課題と繋ぐハブとして機能すること、コーディネートによって地域の方々と顔を合わせ言葉を交わし、起業人はもちろん起業人ではない人でも、町が直面している課題に触れ、自分ごととして(ささやかなことであっても)解決に関わり繋がりが生まれる。そんな、関係人口の起こし方について、知ることができたワークショップでした。
情熱的なプレゼンテーションを受け参加者とのQ&Aやディスカッションも盛り上がりました。
UGOHUB代表の村岡悠司さん
ワークショップ参加のみなさんとの記念ショット!
【施設のご紹介】
・住所:秋田県雄勝郡羽後町西馬音内字本町19
・TEL :090-7428-8697
・営業内容、利用方法などはHPをご覧ください
プログラムの後半は横手市に移動します。こちらも充実のプログラムでした。ぜひご覧ください。記事はコチラから
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